龍虎の拳
拡大縮小を使った迫力ある喧嘩。気力ゲージの採用。隠し必殺技等。様々な挑戦が盛り込まれた意欲作。
ゲームタイトル | メーカー | 使用基板 | 発売日(稼働日/配信日) |
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龍虎の拳 | SNK | MVS | 1992年9月14日 |
無敵の龍と、最強の虎がいた。
みなさんおはようございます。こんにちは。こんばんは。セリスです。
さて、今回はコチラ。『龍虎の拳』。
「せりすけフリーク」時代に「外伝」そして「2」と攻略と言う形で紹介して、いよいよ今回「1」になります。
「餓狼伝説1」と、どちらを紹介しようか非常に悩んだのですが…現行の格闘ゲームがかなり明るく。そしてeスポーツの兼ね合いもあり華やかで競技性が高いです。
しかし、この作品は(この記事執筆時点で)28年前の作品と言ってしまえばそれまででしょうが、街中の喧嘩にスポットを当てて、しかもストーリーやデザインもかなりダークな路線に進んでおり、野心的な試みも多かったので、こちらを紹介しようと思います。
巨大なキャラクター。ズームアウト。肉体の重み
もう、この写真だけでこのゲームのデザインのすばらしさは伝わってしまうのですが、拡大縮小機能をフルに使い、フィールドの大きさと、キャラクターの大きさを両立させている点が最大の特長です。
しかも作品自体がさっきも言いました通り、「街中の喧嘩」なので、ダメージや気絶値も揺れ幅がありますし、顔を殴られると顔が腫れるという細かい演出も光ります。
画面下のゲージは気力ゲージです。必殺技を使うと気力ゲージを消費し、技の威力は落ちてしまいますので、(龍虎の拳1ですと)AボタンかBボタンを押しっぱなしにして、気を練らないといけません。
また、Dボタンの挑発を行う事でも相手の気力を減らす事が出来るので、その辺の駆け引きも重要な要素となります。
そしてこのゲームの一番の良い所は効果音です。
この必殺技が当たった時の気持ちのいい音は、肉体や技の重みを表す演出に一役買っており、しかも必殺技は若干出にくい調整です。必殺技の打ち合いにしたくないという上で、当たるとこの効果音。面白みやゲームの深みに繋がるという点では非常に素晴らしいと思います。
現在のゲーマーには出せて当たり前の必殺技。当時のプレイヤーにとってみれば、必殺技を狙って出せたときの達成感はなんともいえないものがあったと言えるでしょう。プレイヤーが必殺技の入力に慣れ、それに比例して必殺技が出しやすく。そして威力が落ちていったのは、SNK作品ですと、餓狼伝説2以降の話です。
ボーナスステージでパラメーターアップ
先程も記載しましたが、街中の喧嘩にスポットを当てている作品です。対戦ツールというよりも、一人用のクリアに傾倒している作品です。その証明が、このボーナスステージです。
従来のように何かを壊してとか、タイミングよくと言っただけでなく、その後の闘いが有利になるフューチャーがあります。
行きついてしまうと、体力ゲージがアップする氷柱割り(要A連射ボタン)一択になってしまうのですが…
ボーナスステージをクリアする事で、体力が増えたり新たに必殺技が一つ増えるというのは、当時非常に話題となりました。後に更に強力な必殺技。「龍虎乱舞」が発表された事で、結果として若干地味な立ち位置になってしまいましたが、ネオジオメモリカードにセーブをしておく事で家で覇王翔吼拳を覚えておいて、ゲーセンで1ステージ目から披露というやり方も出来ました。
危険な奴らが待っている。
ステージ背景も、また重みに満ちています。まず前提として、餓狼伝説やストリートファイターのように栄冠の座が手に入ると言ったものは、一切ありません。
主人公である「リョウ・サカザキ」が、自分の妹である「ユリ・サカザキ」を助けるため、親友の「ロバート・ガルシア」と街中で喧嘩に明け暮れる、私闘に次ぐ私闘。
その証拠に背景は上から順に、酒場。中華飯店。レストラン。路地裏。軍の空港。工場。そして廃寺と、危険な箇所ばかりを練り歩きます。
※三段目1枚目キングの脱衣シーン(必殺技・超必殺技でK.O.)はこの作品が元祖。
相手キャラクターも、暴走族のリーダーや、ボクサー崩れ。軍人。マフィアの親玉と、アウトローキャラで占められています。
果たして、リョウとロバートの運命は。そしてこの事件の真相は…という所で、話は「龍虎の拳2」へ。そしてこの事件の余波は、意外な方向へと向かっていく、新たなる戦いの序章に過ぎなかったのです。
まとめ:ストリートファイター2へのアンチテーゼと、新たなゲーム性の展開。
当時「ストリートファイター2」では連続技が面白いと受け入れられていました。しかしそれは瞬殺やハマリにつながる場合もあります。防御に回るとどんどん追い詰められ、画面端から脱出できなくなる。そのストレスは初心者には計り知れません。
そこで、SNKは防御に回った側に有利なルールをこの作品で提案しました。だからこそ連続技は無いですし、気力ゲージの要素もありますし、バックダッシュや三角飛び攻撃で脱出という手段もあります。
(最終的にSNKも攻める側の優越感や爽快感に舵切をしていくのですが)攻める側守る側それぞれのプレッシャーを最大限に活かしたメリハリのある攻防をこの作品で提案してきました。
当時カプコンから紆余曲折を経てSNKに移った西山隆志氏と松本裕司氏(両者現:ディンプス)の開発した龍虎の拳は、最終的には三作品とも非常に挑戦心あふれる作品だったと思います。その第一弾であると共に、街中の喧嘩(ストリートファイト)を最大限にふくらまし、「陰」を押し出したSNKの真髄が、この作品にはあるのでしょう。
テストモード
変更の必要はありません。なお、最終ステージ迄行ったメモリカードを接続するか、最終ステージで乱入をすることで、全キャラクターが解放されます。(対戦時は覇王翔吼拳は最初から使用可能)
と言った所で今回はこの辺で。ではでは~